゚・*:Plesance Sinfonia:*゚・
 風が冷たく、涙の跡がすうっとする。


「迎えに来たって、どういうこと?」


兎男は帽子を深く被りなおし、遠くを見つめて言った。


「今は深く話している時間はありません。
兎に角ここから離れなくては・・・。私と共に来ていただけますか?」


「ちょっと、待ってよ!意味がわからないってば!
貴方一体なにものなの!?いきなり現れてなに!?

っていうかその顔・・・一体どうなってるの?」


兎男は小さくため息をついた。


「私の名前は“Mr.ハニー”。」


「ハニーって、蜂蜜のこと?」


「・・・それは後ほど説明することにしましょう。

私はある方の命により、貴方を探し続けて来ました。
アリス嬢、貴方は選ばれし人間なのです。」


アリスには理解することがやっとだった。

目の前にいるこのMr.ハニーという男の存在すら夢かと思う程だというのに、他にもごちゃごちゃと小難しいことを言い出す。


「選ばれたって何に?よくわからないってば。」


するとハニーはピンと耳を立て、遠くを見据えた。
何かを睨みつけているようにも見える。


「ちょっと、聞いてるの!?」


アリスが苛立って聞くと、ハニーは口に人差し指を当てた。


「静かに・・・。」


アリスはハニーの目線を追った。
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