花岡みやびの野望とそれに伴う隣人Aの葛藤。
「私ビッチになる!!!」
私の力強い宣言に、須藤が目を見開いたまま固まっていた。
数秒の沈黙の後、
「…お前はバカか!?」
須藤の心から呆れたような声。
「お前、ビッチってどういう意味かわかってんの?」
「バカにすんな。
とりあえずちょっくら処女捨ててくるわ!!!」
「ばっ…、おま、マジでバッカじゃねぇの一回〇ねや!!!」
「はぁ!?お前は黙って素うどん食ってろ!!!」
「意味わかんねえわ!!!」
はぁはぁと肩で息をしながら、お互い睨み合う。
「…花岡」
須藤が缶ビールを机に置いた。
中身はもう入っていないらしく、カン、と軽い音がした。
「やめとけ。お前みたいな胸サビシー女、誰も相手にする筈がない」
…大マジメな顔してほんとにムカツク奴だ。
「そんなのやってみなきゃ分かんないっ!」
「わかる。完全にわかる。男誘惑するテク微塵もなさそーだし、
お前みたいなガサツな女に欲情する男なんているわけないね」
くっ…
ダメだ、ムカつきすぎるが、今まで実績がないのも事実。
これは須藤を見返すためにも、橘くんの理想の女に少しでも近づくためにも
「行ってきます!」
「はぁ?どこに」
「だから、処女捨てに!!」