花岡みやびの野望とそれに伴う隣人Aの葛藤。
「……でも須藤でしょ?果たして男に入るのか…」
思わず真剣に考え込む私に、額に青筋を浮かび上がらせる須藤。
「てめえ俺をなんだと思ってやがる…」
「そりゃあ、ただのムカつく隣人?
男っていうか、須藤って感じだし」
「あっそ!!!」
わ、なんかすごい怒ってる。
「お前な、ずいぶん余裕ぶっこいた発言してっけど、
じゃあ他にアテでもあるわけ?」
「アテかー…」
ないな、正直。
私はこう見えてけっこう人見知りだし、男子の友達なんて全くいない。
同じ部活の同期だって男子とはほとんど話さないし。
…そう考えると、須藤って特殊な存在なんだな。
「ねーんだろ?」
頷いた私に、須藤がニヤニヤと頬を緩めた。
さっきまで激怒してたくせに、今度はやけにご機嫌だ。
「んじゃ決まりな。安心しろよ」
須藤が私の左手をとって
ちゅ、とその甲に口づけた。