花岡みやびの野望とそれに伴う隣人Aの葛藤。
なんでもいいけど早く諦めろよな。
はじめはそう思っていただけのはずだったのに、いつの間にか花岡のことを自分から探している俺がいた。
たまに見かけない日があると一日中そのことで頭がいっぱいになった。
健気に少し離れたところから視線を送り続けるアイツが、いじらしくてたまらなかった。
かと思えば学食で友達と大笑いしているアイツを見て、意外と明るいのかよ、じゃあとっとと話しかけにこいよ、なんてイラついたりもした。
それが“恋”だとはっきり自覚したのは1年の5月も終わり頃のこと。
学生ホールで、周平がふざけて女にキスをした。ほっぺにだけど。
それを見ていたアイツが、ギュ、とパーカーの裾を握っているのを見て
…駆け寄って抱きしめてやりたい衝動に駆られた。