花岡みやびの野望とそれに伴う隣人Aの葛藤。
「なーに今の」
「うお、紗良」
いつの間にかすぐ隣に紗良がいて、ニヤけまくった視線を私に向けていた。
「今の須藤隼人でしょ?犬猿の中の隣人とか言っときながら、めっちゃ仲良さそうじゃん」
「なに言ってんの紗良。仲良いわけないじゃん」
席に着いた私の隣を陣取ってしつこく質問を続けてくる紗良。
「ほんとに?ほんとにほんとにホントーに?」
「あーもう、うるさいっ!アイツには私の男慣れに付き合ってもらってるだけだから」
「は?何それどーゆう意味、教えて教えて教えて〜!」
…やばい。
なんか余計火をつけてしまった気がする。
「とりあえずほら…授業始まる「授業より大切なものがこの世にはあると思わない?ほら、友情とか」
大学の授業料払ってる親が聞いたら泣くよ?
「…わかった。じゃあ昼食べながら話すから」
「おっけ、約束ね!!」
ニッコリ笑う紗良。
大学に入学してそろそろ2年。
こんなに嬉しそうな紗良の顔は、大盛のラーメンを前にした時以外では初めてかもしれない。