花岡みやびの野望とそれに伴う隣人Aの葛藤。
「ええっ!?須藤隼人とヤッ…」
「てないから、てか声でかい!!!」
慌てて紗良の口を押さえて周囲を伺う。
幸い、死ぬほどうるさい昼休みの学食では、さほど紗良の大声は目立たなかったらしい。
「っでもホテル行ったんでしょ?で、キスはしたんでしょ??」
ホッと息を吐き出した私の手を引き剥がし、勢いよく喋り出す紗良。
「…まぁね」
「で、次の日曜デートするんでしょ?」
「…まぁ。いやでもデートっていうか」
「それってつまり付き合ってるってことじゃん!?」
うひょひょひょ〜と奇声をあげ盛り上がっている紗良の唐揚げ丼から一つ、唐揚げを拝借した。
「ああっ、ちょっと!」
「人の話聞いて。
さっきから言ってるでしょ?
これは‘講義’だって。私がビッチに近づくための!!」
力強く拳を握り熱く語る私に冷めた視線を向ける紗良。
「…へえ、講義、ねー」
「何その意味深な感じ」
「べつにー。
そんな講義して、須藤隼人には何の得があるんだろうって思って」