記念写真を一枚
「……ごめん」

「別に謝って欲しい訳やないんや。なんで隠してたん?」


大きい体を縮こませ、しゅんとしている豚平さんは少し可哀想だった。

しかし今回は完璧に彼が悪いのでぐっとこらえる。


隣を見ると、慎二さんも心が揺らいでいそうだ。

「慎二、忙しそうだったし。……それに……怪我をしてるの知られたくなかったから……だと思う」


はあぁぁぁという彼のため息が響き、ビクッと豚平さんが反応した。


「あのねぇ、怪我って放置したら大変なことになるって、分かる?」

「……はい」

「それで万が一怪我が治らなくなったら、困るのは自分もだし、他の人にも迷惑かかるんだよ?」

「……うん」


黙ったまま俯く彼になんの言葉もかけられず、無表情を取り繕っていたが内面は凄く焦っていた。

慎二さんは慣れているようだったが、自分はこういうのに全く慣れていない。


「当分は入院してもらうからな」

「え?!それは……!」


いつも無理するだけあり、彼にどうやら弱いらしい。

ぐぬぬと言いながら渋々頷いていた。


「修にも報告するで」

「嫌や!!!!」


ビリッと耳に響く悲鳴のような叫び声にハッとして、豚平さんの方を見る。

下唇を噛みながら、布団を握っていた。


「豚平さん、落ち着いてください」


軽く背中を擦りながら手をもむと、正気に戻ったのか一度目を大きく見開き、力を抜いていた。

布団には既にシワができて、唇からもじわりと血が滲んでいた。

握りすぎた手は少し赤くなっており、痛々しい。


「う、あ……ごめん」

「豚平、こっちも言いすぎてごめんな。……けど、修には報告しないといけないんや」

「……おん」
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