記念写真を一枚
豚平さんの感情がわかりやすいことに気がついたのは、一番初めだった。


「よろしくな、努君。……で、ええんよな?」


差し出された手の前に、自分はまず彼の顔に目がいった。


しっかりしている先輩と思われたいのか、きっちりしている服装にマフラー。

……だったが、ワクワクが隠せていない顔を見ると、意外と自分が来ることを楽しみにしていた感じで少し嬉しかった。



まさか氷の書記長なんて言われる人が、自分が入ってくることを楽しみにしないだろう。


そう思って表情を引き締めてから握手すると、あからさまに豚平さんの顔が緩んだのがわかった。

見ているこっちが恥ずかしくなってくるくらい、分かりやすく嬉しがる。



え、何この人。初めて見るタイプの人だ。

ここまで素直な感情が現れる人は初めてだったので、恥ずかしくなりなんとかその場を離れた。

どうやって言い訳したかは忘れたが。
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