記念写真を一枚
豚平さんの過去、教えて下さい。

そう聞くと、彼本人は困ったように笑って少し考え込んでいた。


「って言っても、おもろく無いで?」

「良いです。ただ知りたいだけなんで」

「んー……じゃあ、話してもええかな」


まさか本当に話してくれるとは思わず、彼の方を二度見した。

この場にいる全員が驚いたらしく、豚平さんの方をじっと見ていた。


「……なんか、随分あっさりしとるな」

「せやなぁ」


和嶋先生が拍子抜けしたように聞き返すと、どこか他人事のようなぼんやりとした返事が返ってくる。



今日は突然の雨ということで、仲良く雷雨にズブ濡れになり、風呂に入って着替えたあとだった。

珍しく殆どの人が談話室に揃っていたので、全員が彼の話に耳を傾け大人しくしていた。

煩いくらいの雨音が、部屋に響く。
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