記念写真を一枚
……一般的な家庭、だったと思う。

しかし両親が共働きで忙しかった上わがままなんて言えなかったので、ただただ自分の感情に蓋をしていた。

両親が申し訳なさそうにしているのを見る度に、我儘や泣くことや、悲しい顔をすることが出来なくなる。

そのうち作り笑顔を作りすぎて、表情筋がバグって無表情になっていった。

作り笑顔が作れるけど、誰がどう見ても不気味と言われる顔。

その時、親の会話を盗み聞きしてしまった。


「不気味で、気持ち悪い」


あの時初めて後悔した。

でも、今更泣くなんて動作は覚えてないのに等しい。



そこから一気に無表情になって、軍学校に入った。

……その時は一般兵志願だったから、なんやかんや士官学校に入学。

……けど無表情で不気味なのに加え、結構成績良かった。

だから、その後どうなったかは火を見るより明らかだ。


……別にいじめとかそんなんでズタボロになるほどメンタル弱くないし、いじめるヤツらがだいたい俺より弱いの分かっていたからなんとも思わない。

その時、修に会った。

彼と話すのは楽しかったし、心の底から笑えた。

まあ、表情には出なかったが。
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