記念写真を一枚
起きてからも地獄だった。

自分が笑ったり、泣いたり、喜んだり、怒ったり。

その一挙一動を誰かに否定されているようで、監視されているようで怖い。



本当は、修達が心配してることもわかっていた。

食事、遊び、気分転換に誘ってくれていることもわかった。

でも顔を見たら、夢を思い出しそうで……吐きそうで怖い。

勿論修達と居なくなったら笑えなくなったし、夢を思い出して笑いたくなかった。


「な、んすか。それ」




後悔。

その二文字が頭に思い浮かんできた。

もう少し早くわかってあげられていたら、豚平さんは傷つかずに済んだかもしれない。


「すいません。……俺の、せいでもあります」

「何言っとるん。全部、ワイのせいやで」


ぐっとマフラーの端を握りしめてぐしゃぐしゃにしているのを見てしまい、何も声をかけられない。


「親に嫌われたのも、夢に出てくるのも、気にしてまうのも。……全部、俺のせいや」

「豚平さんは、悪くないですよ。俺だって、そんなことを親から言われたら泣き喚きます」


そう言ったら、なんやそれとくふくふ笑われた。

「あ」

「……なんや?」

「久しぶりに笑った顔を見たなって」
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