丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう
店員「え?」

凱吾「僕の彼女に水をぶっかけておいて、謝罪だけなのかと聞いている」

店員「え……あ、あの…」

凱吾「お前じゃ、埒が明かない。
責任者を出せ」

店員「申し訳ありません。今日は店長が不在で……」

凱吾「は?不在?オーナーは?」
店員「オーナーも、不在です」

凱吾「だったら、どう対応するつもりなんだ」
店員「え?」
凱吾「お前が対応できるってことなんだよな?
だったら、お前の対処法を提示しろ」

店員「え…え……どう、すれば…」
凱吾「はぁー、もういい。
そちらがそんな対応なら、僕にもそれ相応の対応をさせていただきます」

そう言って、クレジットカードを出した。
凱吾「早く、会計してください」


そして店を出た凱吾。
車に向かう前に、電話をかける。
凱吾「あ、住江(すみえ)
駅前の◯◯ってゆうイタ飯屋、店を続けるに値しない。
社員教育がなっていない。
今時、クレーム対応もできない。
もう二度と、こんな店行かない」

そしてこのイタ飯屋も、実和の勤めていた会社同様、廃業に追い込まれることになったのだった。

凱吾「お待たせ、鈴嶺。スカート、大丈夫?」
鈴嶺「うん!あ、それよりも、今度は私にランチ奢らせてね!」
隣に座った凱吾に抱きつく、鈴嶺。

凱吾「それは、必要ない」
鈴嶺「でも、最近…凱くんが払ってばっか」

凱吾「当たり前。僕達は結婚するんだよ?
僕が養うんだから、払うの当たり前」
凱吾はゆっくり頭を撫で微笑んだ。
鈴嶺「うん…」

凱吾の会社前に着き━━━━━

凱吾「じゃあ、仕事終わりに迎えに行くね!
今日は泊まれるんだよな?週末だし」
鈴嶺「うん!」
鈴嶺が頷くと、凱吾も微笑み軽くキスをして車を降りた。

佐木「行ってらっしゃいませ」
頭を下げる佐木に「ありがとう」と言って、会社に向かったのだった。

鈴嶺「行っちゃった…」
凱吾の後ろ姿を見て呟く鈴嶺。
佐木「でも、今日はお泊まりの日ですよ」
鈴嶺「うん」


そして仕事終わりに、凱吾が鈴嶺の屋敷に向かう。
リビングに通され、ソファに座る。
家政婦「凱吾様、お待ちしてました。
少々お待ちください」
凱吾「うん。ねぇ、今、おばさんいる?」
家政婦「いらっしゃいますよ」
凱吾「呼んで。鈴嶺が来るまで話がしたい」
家政婦「はい」

鈴嶺母「凱吾くん、いらっしゃい」

凱吾「こんにちは。
いつまで待てば、結婚許してくれるんですか?
…というより、許す気ないですよね?」


鈴嶺の母親を見据え、単刀直入に言い放った凱吾。

母親は、その凱吾の真っ直ぐな瞳に圧されたように固まっていた。
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