丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう
凱吾が驚愕するのも無理はない。
だって今は、22時半を過ぎている。
いつも鈴嶺は凱吾と会った日、23時頃に佐木が迎えに来て屋敷に帰るのだ。
佐木「旦那様と奥様には私が上手く話しておきますので、今日は凱吾様のマンションにお嬢様をお泊めいただくことは可能ですか?」
凱吾『もちろん、構わないよ。わかった、待ってる』
そして━━━━━━
凱吾「鈴嶺!」
鈴嶺「凱くん、こんな夜遅くにごめんね……」
凱吾「ううん、鈴嶺ならいつでも大歓迎だよ。
おいで?」
佐木「では凱吾様、明朝お嬢様をお迎えにあがります。よろしくお願いします」
佐木が頭を下げ言うと、凱吾も“わかった”と頷きドアを閉めた。
凱吾「…………鈴嶺、風呂入ろ」
鈴嶺「うん…」
元気のない、鈴嶺。
凱吾は頭をポンポンと撫で、バスルームに誘導した。
ゆっくりバスタブに浸かりあがる。
凱吾のスウェットを借りて着替えた。
凱吾「ズボン…ずり落ちてる。可愛い…」
鈴嶺「だって、大きくて…
凱くん、ズボン脱ぐね」
凱吾「だな」
鈴嶺は自分自身を抱き締めて呟いた。
鈴嶺「凱くんに包まれてて、落ち着く……」
凱吾「フフ…もっと、包んであげるよ。寝よ?」
ベッドに横になり、凱吾に腕枕され包まれている鈴嶺。凱吾の大きな手が、ゆっくり背中を上下している。
凱吾「鈴嶺、落ち着いた?」
鈴嶺「うん…ありがとう……」
ゆっくり顔を上げると、凱吾の優しい微笑みがあった。
凱吾「びっくりしたなぁ。鈴嶺が来てくれるなんて……」
鈴嶺「ごめんね…」
凱吾「そうじゃなくて!凄く嬉しいってこと!
まさか会えるなんて……しかも、鈴嶺を抱き締めて眠れるなんて、幸せだ……!」
鈴嶺「………幸せ…」
“私は幸せよ!”
そう言った、杏樹。
でもその表情は、決して“幸せ”を表してはいなかった。
本当は杏樹も、志田にこんな風に抱き締められて眠りにつきたいはず。
愛し愛されるとは、こうゆうことなのだ。
“一緒に”微笑み合う。
“一緒に”抱き締め合う。
時には喧嘩をして、でもやっぱり嫌いになれなくて仲直りする。
そしてまた一つ、愛を深める。
今だって……凱吾のスウェットを着て大好きな人の香りに包まれ、更に抱き締められて温もりを感じる。
これだけでも、幸せだと思える。
しかしこんな何気ない幸せは、杏樹一人で独占できない。
どんなに志田が杏樹を愛していても、杏樹は志田の“一番”にはなれないのだ。
“愛人”とは、そうゆうことなのだ。
だって今は、22時半を過ぎている。
いつも鈴嶺は凱吾と会った日、23時頃に佐木が迎えに来て屋敷に帰るのだ。
佐木「旦那様と奥様には私が上手く話しておきますので、今日は凱吾様のマンションにお嬢様をお泊めいただくことは可能ですか?」
凱吾『もちろん、構わないよ。わかった、待ってる』
そして━━━━━━
凱吾「鈴嶺!」
鈴嶺「凱くん、こんな夜遅くにごめんね……」
凱吾「ううん、鈴嶺ならいつでも大歓迎だよ。
おいで?」
佐木「では凱吾様、明朝お嬢様をお迎えにあがります。よろしくお願いします」
佐木が頭を下げ言うと、凱吾も“わかった”と頷きドアを閉めた。
凱吾「…………鈴嶺、風呂入ろ」
鈴嶺「うん…」
元気のない、鈴嶺。
凱吾は頭をポンポンと撫で、バスルームに誘導した。
ゆっくりバスタブに浸かりあがる。
凱吾のスウェットを借りて着替えた。
凱吾「ズボン…ずり落ちてる。可愛い…」
鈴嶺「だって、大きくて…
凱くん、ズボン脱ぐね」
凱吾「だな」
鈴嶺は自分自身を抱き締めて呟いた。
鈴嶺「凱くんに包まれてて、落ち着く……」
凱吾「フフ…もっと、包んであげるよ。寝よ?」
ベッドに横になり、凱吾に腕枕され包まれている鈴嶺。凱吾の大きな手が、ゆっくり背中を上下している。
凱吾「鈴嶺、落ち着いた?」
鈴嶺「うん…ありがとう……」
ゆっくり顔を上げると、凱吾の優しい微笑みがあった。
凱吾「びっくりしたなぁ。鈴嶺が来てくれるなんて……」
鈴嶺「ごめんね…」
凱吾「そうじゃなくて!凄く嬉しいってこと!
まさか会えるなんて……しかも、鈴嶺を抱き締めて眠れるなんて、幸せだ……!」
鈴嶺「………幸せ…」
“私は幸せよ!”
そう言った、杏樹。
でもその表情は、決して“幸せ”を表してはいなかった。
本当は杏樹も、志田にこんな風に抱き締められて眠りにつきたいはず。
愛し愛されるとは、こうゆうことなのだ。
“一緒に”微笑み合う。
“一緒に”抱き締め合う。
時には喧嘩をして、でもやっぱり嫌いになれなくて仲直りする。
そしてまた一つ、愛を深める。
今だって……凱吾のスウェットを着て大好きな人の香りに包まれ、更に抱き締められて温もりを感じる。
これだけでも、幸せだと思える。
しかしこんな何気ない幸せは、杏樹一人で独占できない。
どんなに志田が杏樹を愛していても、杏樹は志田の“一番”にはなれないのだ。
“愛人”とは、そうゆうことなのだ。