丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう
無愛
女性「んんっ…宗匠…」

ホテルの一室。
ベッドで抱き合っている、宗匠と女性。

宗匠に組み敷かれいる女性が、宗匠の頬に触れる。
そして宗匠の口唇をなぞった。

宗匠「んんっ!!その手、退けろよ」
そう言って、顔を背け女性から離れた。

女性「え……!?宗匠?」
宗匠「………なんか、冷めた。お前、帰れ」

女性「は?何、それ…!!」

宗匠「は?それ、俺のセリフ。
キスはしない。俺に“愛情”を求めるな。
最初に言ったよな?」

宗匠は煙草を取りだし、吸い出した。

女性「最低」
宗匠「最低?
彼女面して、俺を利用してた奴に言われたくねぇ…!」

女性は、怒りで顔を真っ赤にして部屋を出ていった。


宗匠には“愛情”がわからない。

大切な人はいる。
実際、凱吾達仲間は大切だ。

でも、鈴嶺や杏樹に対して愛情はない。

だから宗匠は女は抱くが、愛情は与えない。



スマホの着信が鳴り響く。

画面に【鈴】の文字。

宗匠「鈴?どうした?」
鈴嶺『宗くん、私…どうしたらいい?』
宗匠「ん?」

鈴嶺は紀信とのことを話す。

鈴嶺『凱くんが好き。一緒にいたい。
それだけじゃダメなのかな?』

宗匠「俺には、その気持ちわからねぇから」

鈴嶺『そうだよね…』

宗匠「…………お前はどうしたい?」

鈴嶺『え?』

宗匠「鈴は、凱吾が好き。凱吾も鈴が好き。
それだけじゃダメなの?」

鈴嶺『宗くん…』

宗匠「結構、単純だろ?
深く考えるな。結婚するのは、親じゃない。
紀信でもない。鈴だろ?
お前が思う通りにやりゃあいいんだよ!」

鈴嶺『うん!そうだね!
ありがとう!やっぱ、宗くんだ!
フフ…宗くんに話すと、なんかすっきりする。
いつも、ありがとう!』

宗匠「………」
鈴嶺『宗くん?もしもーし?』

宗匠「好きって、どんな感情?」

鈴嶺『え?』

宗匠「凱吾も紀信も、鈴も……そんなに苦しいのに、なんで諦めねぇの?
苦しいのに、なんで苦しむようなことすんの?」

鈴嶺『諦めるなんて、無理だよ。
好きって感情は、簡単じゃないよ。
諦めたら、もっと苦しむことになるから。
私は、凱くんと離れたらもう…生きていけない。
だから早く結婚したいって思う。
凱くんと一緒に住んで、一緒にお食事したり、デートしたり、何でも一緒にしたい。
それが好きってことだよ。
きっと、宗くんにもあるはずだよ。
そうゆうの。
だって、私達のこと大切にしてくれてるでしょ?
好きだからじゃないの?』
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