憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
いったいどこまでが昔の先生で、どこからが私の知らない先生なの?


10年分の空白を埋めるには、まだまだ知らない事が多すぎる。


『あ、あの…そのお店、御一緒してもいいんですか?甘えても…』


先生と話せば、少しは新しい千隼先生に出会えるの?


もっと先生の「今」を感じられるのかな…


『もちろん、甘えて。すごく美味しいから楽しみにしてて』


『あ、ありがとうございます。はい、よろしくお願いします』


私は少しだけ頭を下げた。


『ああ。じゃあ、また後で』


私達は誰もいない廊下を二手に別れて仕事に戻った。


その後ろ姿をしばらく呆然と見送る。


晴月 千隼経営企画部長とウエディングプランナーの私。


こんな関係まだ全然慣れないよ…


千隼先生が角を曲がる手前で、私もようやく振り返り歩き出した。


先生は、そんな私をチラッとでも見てくれたんだろうか?


ううん、そんなはずないよね。
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