憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
歩きながら、思い出の中の千隼先生がまた頭の中に浮かんできた。


遠い記憶の中の先生。


背が高くて優しくてカッコいい大学生のお兄さん。


穏やかな笑顔が私の思い出に彩りを添えてくれてる。


そんな私の憧れは、いつまでも宙ぶらりんのまま。


これから先は仕事の関係だけで繋がっていくんだ。


今日の誘いは単なる再会の記念。


10年ぶりなんだから、懐かしくて誘ってくれてるだけ。


先生の思いやりなんだ。


いつまでも昔の生徒を大事にしてくれて…有難いと思わなきゃ。


憧れは憧れのまま。


宙ぶらりんでも、それでもいい、私達は今までと何も…変わらないんだから。


夜になって仕事を終えた私達は、変な噂が立っても嫌だから、みんなにわからない場所で待ち合わせをした。


『お疲れ様』


『お疲れ様です。すみません…甘えてしまって』


千隼先生は首を横に振った。
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