絢なすひとと
「どうしても着物って、購買層も売る側も閉鎖的になりがちなので。一部趣味人や富裕層の道楽、と見られがちでしょう。
そういう面は否定しませんが、それでは商売が先細りになってしまう。
できれば森崎さんのような普通のお嬢さんにも、着物に興味を持ってほしいし手に取ってほしいんです」

「そう…なんですね」

「ですから森崎さんの新鮮な視点が欲しい。好奇心にあふれて前向きなところや、アクシデントに即座に対応できる機転も、求めている人物像にぴったりです。
前職の企画の経験も活かせると思います。
扱うものは変わりますが、アイディアを練って売り出す仕事をイメージしていただければ」

七尾さんの明確な言葉に、むくむくとわき上がってくるこの気持ちを、なんと呼べばいいのだろう。
案を出して、それを現実の形に落としこんでゆく。そして誰かを笑顔にすることができたら最高だ。

断たれてしまった夢の続きを、わたしはまた見ることができるんだろうか。
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