絢なすひとと
清掃の業者さんが入っているけど、念を入れて教室の中を隅々まで清める。

着物を着よう、と思っているからには、「綺麗になりたい」「自分を磨きたい」「非日常を味わいたい」という心持ちで来るのに、その場所でチリや埃が目についたら興醒めだ。

着付け教室に通ってくる方の年代はまちまちだけれど、共通しているのは着物に興味があるということだ。
中には美容師をしているので、職業柄必要に迫られてというパターンもあるけれど。

洋服を探しにいって、ショップの店員さんの着こなしに引きつけられて、という経験は誰しもがあることだろう。
着物も同じようなもので、美幸先生のコーディネートは毎回生徒さんたちの注目の的だ。

さすがに着物や帯は、手軽に同じものを、というわけにはいかないけれど、帯締めや帯揚げといった小物は場所も取らないし求めやすい。
いいな、と思ったら教室が入っているビルのすぐ近くに【ほづみ屋 日本橋本店】が構えているのだ。

着付け教室の後は、店に足を運ぶ方が多いというのも納得だった。
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