絢なすひとと
第三章/文月に揺れる
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「明里ちゃん、最近どうしたの」
着付け教室で顔なじみになってきた生徒さんに言われてしまった。
「えっ、わたしの着付けどこか変ですか?」
焦って帯まわりに目を走らせる。
「違うわよぉ、抜き襟が上手くなったのかしら、襟足なんか匂い立つようだし」
ねえ、と言いながら周りの人に目を向ける。
うんうんと頷いたひとりが、「可愛いのは元からだけど、そこに薄桃色の紗をふんわりかけたような雰囲気を纏っちゃって」そんなことまで言い出す。
着物が好きな方だけに表現に品があることに感心しながらも、洞察力にヒヤリとする。
それともわたしが分かりやすいんだろうか。
「こないだSNSに載ってた写真も、すごく素敵だったわよ」
「そうそう、わたしもチェックするの楽しみなのよー。コーディネートの参考になるし」
話題がそちらに変わって、内心安堵した。
わたしともうひとりの女性社員が運営担当になって始めた、ほづみ屋の公式SNSは、おかげさまで順調にフォロワーを増やしている。
「明里ちゃん、最近どうしたの」
着付け教室で顔なじみになってきた生徒さんに言われてしまった。
「えっ、わたしの着付けどこか変ですか?」
焦って帯まわりに目を走らせる。
「違うわよぉ、抜き襟が上手くなったのかしら、襟足なんか匂い立つようだし」
ねえ、と言いながら周りの人に目を向ける。
うんうんと頷いたひとりが、「可愛いのは元からだけど、そこに薄桃色の紗をふんわりかけたような雰囲気を纏っちゃって」そんなことまで言い出す。
着物が好きな方だけに表現に品があることに感心しながらも、洞察力にヒヤリとする。
それともわたしが分かりやすいんだろうか。
「こないだSNSに載ってた写真も、すごく素敵だったわよ」
「そうそう、わたしもチェックするの楽しみなのよー。コーディネートの参考になるし」
話題がそちらに変わって、内心安堵した。
わたしともうひとりの女性社員が運営担当になって始めた、ほづみ屋の公式SNSは、おかげさまで順調にフォロワーを増やしている。