絢なすひとと
着付け教室の生徒さんにもフォロワーになってくれている方が多く、SNSはもはや若い世代のものじゃないと実感する。

「そうそう、この明里ちゃんの写真がすごく可愛くて」
ひとりの生徒さんが、手にしたスマホの画面を周りに向ける。

「あ、それわたしもいいと思ったの。現代のモダンガールって感じで」

ひええ、恥ずかしい。
それは水玉の紬に、間道(かんとう)の名古屋帯を合わせた一枚だった。
どこかレトロだけれど廃れることのない水玉模様の魅力を、自分でも再認識した。

今までSNSに載せたわたしの写真の中では、一番反応があった一枚なのだけど。
それはきっと着物の良さと、それにそう撮ってくれたひとのおかげかもしれない。
本店の前で司さんが撮ってくれたのだ。

好きなひとが撮ってくれた写真には魔法がかかってしまうのか。
はにかんだ表情も初々しくていいと、生徒さんたちが褒めてくれるのが面はゆい。

反応が分かりやすいこともあって、ついついそちらにかまけそうになるけれど。SNSはあくまで付け足しの業務だ。
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