絢なすひとと
好きなひとの負担になりたくなかった。できればこのひとときが、彼にとってリフレッシュになることを願うばかりだ。
司さんの腕に手を添えて、石畳を踏み、太鼓橋を渡る。
着物を着ていると、手をつなぐより彼の腕に手をかける仕草のほうがしっくりくる。
これはよく聞くことで自分でも実感するのだけど、着物を身につけていると所作まで変わるのだ。
七月の午後の蒸し暑さであっても、そこまで陽射しが強くない日だったのが幸いだった。
広い庭園を吹き抜ける風が自然の涼をもたらしてくれる。
「あそこ、写真を撮るのに良さそうだな」
目をやって司さんがつぶやいた。
今どきの言葉でいうと “映えスポット” という場所だ。
池を背にして、一本の柳がしたたる緑をそよがせている。
「明里、ちょっと木のそばに立ってみて」
彼がスマホのカメラを起動させている。
彼の言葉に、柳の横で手を前で揃えてたたずんだ。歯は見せず表情も慎ましやかに。
うんいい感じ、と司さんがシャッターを切る。
司さんの腕に手を添えて、石畳を踏み、太鼓橋を渡る。
着物を着ていると、手をつなぐより彼の腕に手をかける仕草のほうがしっくりくる。
これはよく聞くことで自分でも実感するのだけど、着物を身につけていると所作まで変わるのだ。
七月の午後の蒸し暑さであっても、そこまで陽射しが強くない日だったのが幸いだった。
広い庭園を吹き抜ける風が自然の涼をもたらしてくれる。
「あそこ、写真を撮るのに良さそうだな」
目をやって司さんがつぶやいた。
今どきの言葉でいうと “映えスポット” という場所だ。
池を背にして、一本の柳がしたたる緑をそよがせている。
「明里、ちょっと木のそばに立ってみて」
彼がスマホのカメラを起動させている。
彼の言葉に、柳の横で手を前で揃えてたたずんだ。歯は見せず表情も慎ましやかに。
うんいい感じ、と司さんがシャッターを切る。