沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜

　金曜日の今日は遅番だ。園児の登園ラッシュが終わった頃出勤する。

　匠とはメールをするが話す事が出来ないまま、約束の日になっていた。美羽の部屋の鍵も持っているし、困る事はないだろう。

　そして、毎朝結を見るたびに思い出すのだが、陽菜には聞いたが実際のプリンスの姿をネットで見るのを忘れている。

　今日の遅番は、陽菜も一緒だった。

「啓太くんのパパ遅いね」

「そうだね。週末だからかなぁ」

　現在の時刻は19時半。

「パパまだ？」

　啓太も待ちくたびれている。大人にとっては忙しい週末だが、子供にとっては一週間の疲れが溜まった週末なのだ。

「もう少しかなぁ〜。本でも読もうか？」

「うん……」

　待ちくたびれて元気がない。