沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜
「美羽ちゃんは何歳なの?」

「26歳です。匠さんより年上で」

「まあ、頼りになるわぁ」

 美羽が気にしている年齢差も全く問題がないようだ。

「お仕事は何を?」

「保育士です」

「それはいいわ。大きい子供の面倒が一人増えちゃって申し訳ないわね」

 どうやら、プリンスと世間では言われ完璧なイメージの匠も母親にかかれば、園児と変わらないらしい。

「母さんそろそろ帰ったら?」

「嫌よ〜こんな嬉しい事はないもの。帰ったら皆に報告しなくっちゃ」

「頼むから、外では言わないでくれよ。マスコミに追われたら困るから、タイミングを考えてるから」

「わかってるわよ」

 初訪問の匠のマンションで、母に熱烈に歓迎された美羽だった。


< 61 / 87 >

この作品をシェア

pagetop