沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜
「美羽、さっきから黙ってこっち見てるけどどうした?」

「匠のスーツ姿が……」

「変?」

「ううん。カッコイイ」頬を赤らめる。

 匠は面と向かって褒められて照れる。お互い見つめ合い頬を赤らめる姿は、傍から見ると初々しい姿だ。

 美羽の実家は、二人が住む街から電車で三十分程。目立つ事を避けるため、タクシーで向かう。

「美羽は、弟がいるんだったよな」

「うん。歳が離れてるの。今高校生だよ。匠を見たら大騒ぎかも……」

「美羽の家族に認めてもらえるといいんだけどな」

「匠は反対される要素がないから」

「頼りないと思われないかな?」

「全くないから大丈夫」

「対局より緊張するよ」

「そんな風に見えない」



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