沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜
「プリンスのプライベートは謎が多い。記事にしたい記者は沢山いますよ」

「とにかく、勝手に記事にされては困ります。行こう」

 美羽を促し、この場を後にする。こういう時はどう対応するべきかを考えた事がなかった。

 タクシーに乗り込みマンションに向かうが匠は気が気じゃない。

「美羽すまない」

「匠が謝ることはないよ」

「慌ててたとはいえ不注意だったよ。美羽に迷惑がかからないといいんだけど……」

「記事になるのかな?」

「俺にもわからない。棋士が週刊誌に載るなんてよっぽどの対局くらいしか聞いた事はないけど、俺が知らない所で時々書かれてはいるみたいだ」

 匠は自分の記事に興味がないから知らないが、時々どころか度々プリンスは特集されているのだ。

< 71 / 87 >

この作品をシェア

pagetop