午前の授業が終わり生徒が下校できる時間になった。
みんなそれぞれ友達と一緒に帰っているが、私はもちろん一人。
昇降口で乱暴に靴に履き替え、校舎をでる。
朝につけていたワイヤレスイヤホンを両耳につけて、スマホを操作して音楽をかける。
音楽を聴いているときはずっと気が楽だから、いつも時間が空いているときはこのイヤホンをつけて大好きな洋楽をかけて時間をつぶしている。
高校を出てからしばらく歩くと、大きい広場のような公園がある。
この公園は”青山公園”といって、よく地元の幼稚園児が遊んでいる。
この公園の一番奥は森になっていて、その森を抜けたところに湖があり、そこに少しの空間がある。
ここは誰にも知られていない、私だけが知る場所。
よくここで同じ学校の人が駅にいなくなる時間まで待ってから駅に行く。
私は、ここの空き地に着くとイヤホンを外して地面に寝転がった。
目の前には、少しオレンジがかった空が広がる。
今日は風が心地いい。
この地面の感触、風のひんやりとした空気感、遠くに聞こえる子供たちの笑い声。
全部が、私しか知らない。
私は、大きく深呼吸をした。
体の隅々に空気を送り込むように。
このまま、この世界から消えてしまいたい。
こんなことすら考えてしまうほど、世界は小さくて、私の目に映る空は、とても美しいものだった。
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