スーパーは冷房がきいていて、少しだけマスクを外して一息つく。
なるべく人に会いたくないので、ポケットに忍ばせていたワイヤレスイヤホンを耳にはめて、買い物かごを手に取った。
まず、追加の納豆を四パック、豆腐を六パック、卵は高いから二パック、ネギを五本かごに入れた。
なるべく料理はしたくないので、そのまま食べられるものを買うことが多い。
きゅうりやミニトマト、キャベツ、ハムなどをたくさんかごに入れて、レジに向かう。
レジに向かう途中で、わたし大好物のメロンパンを三つかごに入れた。
セルフレジで会計を済ませると、私は早歩きで家に帰った。

お昼を食べていない私は、家に帰ってすぐに今日の夜は何を食べようか考えた。
野菜もたくさん買ったし、量に気をつければ五日分はあるだろう。
冷蔵庫に食材を入れて、私はリビングにあるベットの下の引き出しから
、通帳を取り出した。
「お母さん…ごめん。お金、もうすぐ無くなっちゃうや。」
この通帳はお母さんが刑事としてまだ生きていた時に貯金してくれていたものだ。
”もしも私に何かあった時はこのお金を使うのよ”
そう言ってお母さんは、当時まだ小学二年生だった私にこの通帳を渡した。
意味が分かっていなかった私は無言でその通帳を受け取り、ひさしぶりに会えたお母さんに笑顔でに抱き着いた。
それからお母さんは三か月後に事件に巻き込まれて亡くなった。
まだ小学二年生だった私には重すぎる事実であり、二週間泣き続けた。
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