先輩と甘い初恋はじめました。

初対面の人なはずなのに、ドキドキと心拍数が上がっているのは気のせい………かな。



「えっと、私は………1年3組の星崎琥珀です。すみません、寝ているところを勝手に……」



同級生か分からないのでたどたどしい敬語になってしまった。だって、見た感じ先輩なんだもん。



「星崎、琥珀………」


「ん?私のこと、知ってるんですか?」



私が名乗ると名前を繰り返して声に出した。名前が呼ばれた瞬間、ドキッと心臓が跳ねる。


思ったよりも低音ボイスで心地の良い声に聞き入ってしまう。


私、この人のこと、知らないよね………?



「ふーん。キミが星崎琥珀。………やっと会えたね」


「へっ?」



にっこりと笑いながら私にわけのわからないことを言うその人は、愛おしそうに、私を見つめてくる。


いや、勘違いなことはわかってるんだけどね?


実際私は知らないし、男友達なんていたことないし。
< 10 / 184 >

この作品をシェア

pagetop