先輩と甘い初恋はじめました。
カバンを持つと俺は教室からでようと歩き出す。
…………めんどくさい。今日に限ってなんで円香に捕まるんだ。斗亜は先に帰っちまったし。
「待って!」
教室を出て、しばらく歩くと円香に呼び止められた。腕を掴まれ、その場で立ち止まる。
「…………なんだよ。お前と話すことは何もねぇよ」
「わかってる。でも律貴が好きなの。どうしてもこの恋心を消せないの。ねぇ、どうしたらいい?」
「どうしたらって………俺にそんなことを聞くなよ。俺は円香を幼なじみとしか見ていない。俺はちゃんと片想いをしてるんだ」
これ以上、円香とこの微妙な関係を続けるわけにはいかないので言葉を選びながらはっきりと伝えた。
放課後なのに、廊下には誰もいなくて、シン………と静まり返っていた。
そういえばこの前もこんなことあったな。
今日は琥珀に会わないことを願う。
「………それって…………律貴の勘違いなんじゃないの?」