先輩と甘い初恋はじめました。

「無理。琥珀が泣いてるのにほっとけない。ねぇ、こっちを向いて?」


「や、今はダメ………!」



コツコツと近づいてくる律貴先輩。私はてっきり怒られるのかと思ったけど律貴先輩の声は驚くほど穏やかで、優しさを感じた。


だけど私は怖い。


律貴先輩に嫌われるほど怖いものはないから。



「琥珀。俺の目を見て」


「…………っ、」



逃げることも出来ずにその場で固まっていると律貴先輩が目の前で止まって、しゃがみこむ。


顎をクイッと持ち上げられ、ドアップに写った律貴先輩の顔を見て、息を飲む。



「律貴先輩………それはダメです」


「ん?何が?」


「ち、近すぎますよ。離れてください」


「やだ。琥珀に泣いていた理由を聞くまで離さない」



…………私のことは遊びのはずなのに。


なんでそんな切なそうで、苦しそうな顔をしているの。


松井さんと想いは通じあってるんじゃないの?
< 130 / 184 >

この作品をシェア

pagetop