先輩と甘い初恋はじめました。

廊下で一人、律貴先輩とキスをしたことを思い出していると、


ーコツコツ……。


廊下の角から人が歩いてくる音が聞こえた。


あれ、誰だろう。



「…………松井、さん」



誰だろうと思って廊下の角を覗いたら、そこには松井さんが壁に寄りかかって顔を埋めていた。


松井さんの体は震えていて、泣いているんだということがすぐにわかった。



「………何よ。なんで星崎さんがここにいんのよ。私のことをバカにしに来たの!?」



松井さんに声をかけると震えていた肩がおさまり、顔をあげて私を見る。


その目は赤く充血していて、腫れぼったい。



「ば、バカにしにきたわけではないです。教室にカバンを取りに行こうとしたら、足音が聞こえて…………大丈夫、ですか?」


「だ、大丈夫なわけないじゃない………!好きな人を振り向かせるのに必死になってたのに、あんたなんかに取られたのよ!?幼なじみの私よりも律貴はあなたを選んだんだから!」
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