先輩と甘い初恋はじめました。
そりゃ、松井さんと比べたら隣にいる時間は短かったけど、それ以上に濃い時間を過ごすことができたと思う。
………この私の、片想いが証拠だ。
律貴先輩に出会ってなかったら、私は恋を知らないまま、高校生活を終わらせていたかもしれない。
「な、何よ。私の方が、律貴のことが好きなのに。この気持ちは誰にも負けないのに………」
涙をボロボロと零しながら訴える。
それは………私が誰よりも理解しているつもりだ。松井さんと律貴先輩を見ていれば、2人がどれだけ一緒に過ごしてきたのかがわかる。
「それは知ってます。だから、私は松井さんにも感謝してるんです」
「…………え?」
松井さんははたから見たら多分恋敵でしかないと思う。だけど私は松井さんにも感謝しているんだ。
「松井さんがいなかったら、私は自分の気持ちに気づかなかったと思います」
「…………」