先輩と甘い初恋はじめました。
ぼんっと熱い顔がさらに熱くなる。
「悪い悪い。ありがとう、琥珀」
そっぽを向いた私に律貴先輩は優しく笑いかける。先輩の笑顔は破壊力抜群で、なんというか、オーラが………すごい。
名前を呼んだだけなのに、ありがとうって言われた………。
ただそれだけなのに、トクトクと心臓が心地よくリズムを刻む。
「ねぇ、琥珀が手に持ってるそれってもしかしてお弁当?」
「えっ、はい。そうですけど………」
律貴先輩は満足したように笑ったあと、私が手に持っているお弁当を指さす。
そうだ、中庭にはお弁当を食べるために来たんだった。いろんな出来事があってすっかり忘れてた。
「ふーん。ならここに座って食べなよ」
「む、ムリです!私が別な場所で食べますから、先輩は休んでてください!」
先輩はトントンと隣の席を叩いて座るように促した。だけど、男子にメンタルがない私は隣に座ってお弁当を食べることはできない。