先輩と甘い初恋はじめました。

突然諦めるなんて言い出すもんだからびっくりした。



「何びっくりしてんのよ。あなただってライバルがいなかったら嬉しいでしょ?私は敵わないってわかったから」



松井さん…………。



「それじゃあね。律貴によろしく」


「松井さん!?」



ふわっと笑った後、涙を拭いながらその場を立ち去ろうとする松井さん。


その姿は頼もしくて、見とれてしまいそうになったけど。本当にこのまま諦めてもいいのかな。



「星崎さんは、片想いを諦めないでね」



最後に松井さんが振り返ってそう言った。


私の片想い…………諦めるわけがない。



「はい!ありがとうございました!」



松井さんにぺこりとお辞儀をする。


あんなにかっこいい人はいないかもしれない。松井さんが恋のライバルで良かった。


こんなふうにぶつかることができて。


自分の片想いにも自信を持つことができた。
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