先輩と甘い初恋はじめました。
「え?」
ぷいっと拗ねてそっぽを向けば律貴先輩がくるりと回って私の顔を覗き込む。
その真剣な顔にキュウっと胸が苦しくなった。
「………まぁ、これからわかる事だしね。今は遊園地を楽しもうよ」
謎の沈黙が流れた後、吹っ切れたように優しく笑った先輩は私の手を握って遊園地の中を歩き出す。
「ちょ、律貴先輩っ!手、………!」
右手から温もりを感じて熱くなる。ゴツゴツとした男らしい手に、優しく包まれて。
男の人なんだなって思わされた。
「ん?これくらいいいでしょ?琥珀が迷子にならないように手を繋ぐことくらいね」
「なっ、迷子になんかなりませんよ!子供じゃあるまいし………」
そこまで言ったけどだんだん自信がなくなってきた。だって今日は土曜日だからか、人が多くて油断したらすぐ迷子になりそう。
怖いな。
律貴先輩と離れ離れになるのは嫌だ。