先輩と甘い初恋はじめました。
冗談だとわかっているのに、私の心臓は正直で。
先輩に聞こえないか心配したほど、自分の心臓の音しか聞こえなかった。
「なぁ、さっきからさ、なんなの?俺、結構本気なんだけど。琥珀のこと、からかってないよ」
「…………っ!」
甘い低音ボイス。
そんなことを言われたら、黙るしかなくなっちゃうじゃない。
先輩、どうしてくれるんですか。
サワサワと葉っぱが風に揺れている。この世界にはまるで先輩と私しかいないように感じるほど、中庭は静まり返っていた。
「ねぇ、聞いてる?」
「き、聞いてます………」
先輩の膝の上で、固まる私。
もう少し、この状態でいたいと思っている私は………重症でしょうか。
「おーい、律貴!ここにいた!早く教室戻ってこいよ!先生に呼ばれてんぞー!」
どれくらい時間がたっただろうか。
先輩の温もりを感じていると、ドアの方から先輩を呼ぶ声が聞こえた。