先輩と甘い初恋はじめました。

琥珀を逃がすまいとぎゅうっと手を握り、隣に並ぶ。その小さくて暖かい手はすっぽりと俺の手の中におさまった。



「〜〜っ、」



諦めたかのようにそっぽを向いた。



「ふはっ」



琥珀が、俺の彼女なんだ。


それから、2人並んで学校に続く道を歩いた。



***


「天気いいですね〜」


「そうだね。梅雨明けだ」



6月の終わり。


天気も晴れが続くようになって徐々に夏に近づいてきた。気温もぐんと上がってだいぶ熱くなった。



「ふふっ。律貴先輩と出会ってもう2ヶ月たつんですね。あれからカレカノになるなんて思わなかったです」


「そうだね…………」



やっぱり琥珀は俺と初めて出会ったことを忘れてるな………。思い出してはくれないのかな。



「あれ………でも律貴先輩は私のことを初めて会った時は知ってましたよね?」



琥珀がこてん、と首を傾げて聞いてくる。
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