先輩と甘い初恋はじめました。

その言葉を聞いてドキッとした。



「まぁ、ね。でも琥珀は覚えてないみたいだから………」


「覚えてない………?」



わけがわからない、というように考え込む。もう、ここは俺から言ってもいいのかな。


琥珀に初めて出会った時のことを。



「俺と琥珀が出会ったのは…………」


「いたたた………」



俺が口を開いて話そうとした時、前の方からおばあさんの声が聞こえた。


前を向いてみると、おばあさんが倒れ込んでいて、もっていた袋から果物や、野菜などが道端に落ちている。


あ、これは………一年前と同じだ。



「大丈夫………」


「大丈夫ですか?」



大丈夫ですか?と聞こうとしたら俺の隣にいた琥珀が真っ先に声をかけていた。


ふわりと笑って、おばあさんに手を差し出して手伝っていた。



「ごめんねぇ。ありがとう」


「いえ」



俺は………こんな優しい子に恋をしたんだ。



「大丈夫ですか?」


「律貴先輩………!」
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