先輩と甘い初恋はじめました。
俺は…………近寄っておばあさんに声をかける。
もう、一年前の俺とは違うんだ。声をかけることを躊躇う俺ではない。
「おや、かっこいい彼氏だねぇ」
「あ、い、いや………」
「はい。俺の大事な彼女ですよ」
野菜や果物を拾いながら、琥珀に向かって言った。ここで否定したくなかったからな。
「り、律貴先輩…………恥ずかしいです」
顔を赤くしながら、でも笑顔でおばあさんを見ている。そんな優しい琥珀は、カバンに手を入れると、ゴソゴソと何かを取り出した。
「あの、良かったら、この袋、使ってください」
琥珀が手に持っていたのはビニール袋。
「あら、ありがとう。じゃあ、お礼にアメをあげようかねぇ」
ニコニコと笑いながら袋を受け取るとおばあさんはカバンからアメを2個取り出して俺たちの手の中にぽん、と置いた。
「あ、ありがとうございます。わざわざ………」