先輩と甘い初恋はじめました。
あの時のことを。
「そう、だよ。でもなんで思い出したの?」
思い出すとは思わなかったので少し驚いた。だけど嬉しさが勝って。
気づいたら琥珀を抱きしめていた。
「あ、あの…………ほんとに、さっきなんですけど…………ビニール袋を取り出した時………一年前も同じことあって誰かに声をかけられたなって………それで、思い出したんです」
抱きしめた腕の中で身を委ねている琥珀は、ぎゅっと俺の背中に手を回す。
その仕草に、ぎゅうっと心臓が締め付けられたかのように苦しくなる。
だけどそれは幸せなものだった。
「そっ、か。良かった………思い出してくれて」
「はい。私もありがとうございます。この広い世界で、私を………見つけてくれて。好きになってくれて。幸せです」
そんなん俺の方が幸せだよ。
好きな子と両思いになって。こうして、抱きしめあって。