先輩と甘い初恋はじめました。
チラッと私の方を寂しげに見ると、にっこり笑ってそう言ってきた。
ズキっと胸が痛んだけど、松井さんに嘘はつけないので素直に頷く。あれから松井さんと話すのは初めてでなんだか緊張する。
いくら私を認めてくれたと思っても緊張はする。
「そっか、そっかー。律貴のこと、よろしくね。私はもう新しい恋をしてるからさ。気にしないでね」
「えっ、そうなんですか?」
「そうだよー。今度はちゃんと実る恋をしたいね。まだ片想いだけど頑張るよ」
照れくさそうに松井さんは笑うと歩き出す。
そうなんだ。
良かった…………。松井さんはすごく強いひとだ。
「そうですか。頑張ってください。応援してます」
「そりゃどうもー。あんたも頑張んなよ」
ぽん、と肩を叩くと足早にこの場から離れていく。松井さんの背中を見つめながらありがとうございます、と心の中でつぶやいた。