先輩と甘い初恋はじめました。
深呼吸をしながら、先輩に近づいた。
「り、律貴先輩!遅くなってすみません」
「琥珀!よかった、来てくれた!」
律貴先輩は私を見るとにっこりと笑いかける。
ードキッ。
やっぱり先輩の笑顔はかっこよくて、これでドキドキするなと言われてしない方がおかしいよ。って思った。
昨日、由香から聞いた話からは想像できないほど先輩は優しい。
いや、優しいのは最初だけかも。
揺らぎそうになる決意をもう一度固めて、しっかりと先輩の目を見た。
「………琥珀、どうしたの。そんな怖い顔して。ほら、こっちおいで?」
先輩はそんな私に気づいたのか、心配するような様子を見せた。だけどすぐに、自分の隣に座るように手招きする。
正直、先輩がどうして私なんかにこんな優しくするのか分からない。
私は、先輩のことを知らないのに。
「律貴先輩。私………律貴先輩と会うのは今日で最後にします」