先輩と甘い初恋はじめました。

するとふわっと後ろから誰かに………抱きしめられた。壊れ物を扱うような、そんな優しい腕で。


誰かって………律貴先輩しかいないんだけど。



「律貴、先輩?これは………」


「いかないで」


「へっ?」



どういうことか、と聞こうとしたら先に先輩が口を開いた。後ろから先輩の熱が伝わり、よりいっそうドキドキが増す。


き、急にどうしたんだろう………。


考えが回らない頭で必死にフル回転させる。


私のこと、遊びでからかってたんじゃないの?



「律貴先輩?」



抱きしめられてから数秒後、何も言わない先輩。


一瞬、時が止まったように感じた。



「遊びじゃないから。琥珀と関わってること、遊びで関わってるわけじゃないから。お願いだから、俺から離れていかないで」


「…………!」



先程の先輩からは想像ができないほど切羽詰まったような、悲しみがこもったような声で訴えられた。
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