先輩と甘い初恋はじめました。
このことを由香に話したら多分、バカだと言われる。だけど私は、先輩を信じたい。
「俺はそれでいい。ゆっくり、お互いのことを知っていきたい。琥珀が許してくれるなら」
昨日までとは違って言葉を選んで話している。私としては嬉しいけど、なんでそんなに私のことを知りたいんだろう。
「…………わかりました。私も律貴先輩のことをこれからちゃんと知っていきます。だから、私のことも知ってください」
先輩から離れながら顔を合わせる。
誰もが見ても完璧なイケメン先輩。でも私は見た目だけでは判断したくない。
先輩のことを知ってから離れても、間違いではないと思う。
「わかった。ありがとう」
「はい。では今日はこれで。お弁当、教室にあるので」
ぺこりと会釈して今度こそ教室に戻ろうと踵を返した。
「明日、また昼休みここで待ってるから」
先輩の声を聞きながら、中庭を後にした。