先輩と甘い初恋はじめました。
「ほんとほんと。柊先輩、今彼女いないんでしょ?私、狙っちゃおうかなー」
ードキッ。
隣の席の会話を聞いてドキッと心臓が跳ねた。
「えー、無理だって。柊先輩、冷たい人だって噂もあるし、ウチらが話しかけたって相手にしてくれないよ」
「だよねー」
よ、よかった…………。話がそっち方向にいってくれて。私はひとりでにほっと胸を撫で下ろしていた。
…………え、なんでだろう。
他の女子が律貴先輩のことを話すと胸の辺りがモヤモヤする。
ーピーッ。
話が一段落したところで試合が始まるところだった。私は試合の方に集中する。目は自然と、律貴先輩のことを追っていた。
試合はどんどん進み、律貴先輩のチームは一点差で負けていた。残り時間は5分。
接戦の試合で、律貴先輩のチームが点を入れると相手がまた点を入れる。ハラハラドキドキして、いつもスポーツに興味ないのに、時間を忘れて見入っていた。