先輩と甘い初恋はじめました。
「律貴先輩!練習試合見てました。おめでとうございます!」
「ああ、サンキュー。つか、なんでここに………」
そこまで言ってはっとドアの方を向く。
やべ、こんなところバスケ部の奴らに見られたら後で絶対からかわれる。
「悪い、こっから離れるぞ」
「えっ、あの、律貴先輩!?」
俺は琥珀の手を取って学校から離れることにした。ぎゅっと手を握ると、すっぽりと収まってしまうほど手が小さくて柔らかいことに気づく。
戸惑っている琥珀を引っ張りながら、鼓動が早くなっていくのを感じた。
…………この感じ、1年前と似ているな。
確か、その時から琥珀を好きになったんだ。
***
高校に入学して、間もない頃。
俺は、新しい仲間に囲まれたり、バスケ部に入部したりと一見順風満帆な学生生活を送っているように感じた。
だけど毎日同じことの繰り返しで、日々退屈していた。