先輩と甘い初恋はじめました。

学校の帰り道。俺は電車から降りてスマホをいじりながら道を歩いていた。


すると、



「大丈夫ですか?」



前の方で、おばあさんが困っているところに女の子が声をかけていた。


おばあさんは、買い物の帰りだったのか、ビニール袋を手に持ったまま、しゃがんでいて落ちたものを拾っていた。


普段なら通り過ぎていくであろう場面を、その日は立ち止まって見ていた。



「ごめんなさいねぇ。袋に穴が空いていたみたいで」


「ふふ。大変でしたね。私、袋持ってるので良かったら使ってください。入れていきますね」


「ありがとう」



おばあさんの前に座って優しく話しかける女の子。サラサラの長い髪を揺らしながら一緒に拾っていた。


…………すごい。


俺は今、素通りしようとしてたのにその女の子はおばあさんを助けていた。とてもじゃないけど俺にはできなかったことだ。



「ありがとうね」
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