先輩と甘い初恋はじめました。
「なんでもねーよ。行くぞ!」
俺は赤くなった顔を、隠すようにしてその場から離れた。
…………あれから1ヶ月とちょっと。
ようやく、俺はキミと関わることができたんだ。
***
「あの、律貴先輩?」
琥珀と出会った日を思い出していると、大好きな声で名前を呼ばれる。
俺はようやく歩くのを止めて琥珀と向き合った。
「今日、どうして練習試合見に来てくれたの?」
「…………由香に、練習試合があるって聞いて………気になって見に来ちゃいました」
そう言って照れくさそうに笑う。
…………その笑顔、反則だろ。なんなんだよ。
「あの、迷惑でしたか?」
黙りこくった俺を見て不安そうに、見上げる。その上目遣いも可愛くて、頭がおかしくなりそうだ。
「全然迷惑じゃない。むしろ、めちゃくちゃ嬉しい」
「そ、そうですか。それならよかったです」