先輩と甘い初恋はじめました。

…………はぁ、この高校、広すぎない?


教室からここまで5分くらいはかかっていると思う。だからか、ここら辺はあまり人がいなくて、結構穴場だったりする。


入学してから、この中庭には何回も通っている。


私は息を整えながらドアに手をかけて、勢いよく開けた。


ーサァァ…………。


ドアを開けた瞬間、気持ちの良い風が目の前を吹いた。雲ひとつない5月の空。


桜はずっと前に散ってしまい、今は青々とした葉っぱがさわさわと揺れていた。


ゆっくりと足を踏み出してドアを閉めながら外の空気を思いっきり吸い込む。


はぁ………気持ちいい。


外の空気を感じながら、中庭にあるテーブルに向かう。きっと今日も人はいないんだな、と思いながら歩いていた。


…………んだけど。



「スー、スー…………」


「んっ?」



テーブルに近づくにつれ、誰かの………気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
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