先輩と甘い初恋はじめました。

どうしようか躊躇っている私をよそに律貴先輩は私のことを隣の女の子に紹介していた。


…………どうしよう、どうしよう!


咄嗟にとった行動とはいえ、その先のことは全く考えていなかった。気づいたら体が勝手に動いていて、2人の邪魔をしていた。


頭の中はパニック状態で、黙りこくるしかなかった。



「ふーん。あなたが星崎さんね………」


「は、はい。すみません、2人の邪魔をしてしまって。それじゃあ、私はここで!」



ここはすぐに逃げた方がいい。そういう考えに至った私は足早にここから去ろうと踵を返す。


ドクドクと心臓が壊れそうなほど、早く脈打っていた。


………なんで。なんでこんなことしたの。



「ちょ、琥珀?どこ行くの?」


「やっ、離してください!」



その場から去ろうとしたけど律貴先輩に腕を掴まれた。抵抗したけど力が思いの外強く、振り解けない。


観念した私は顔をあげた。
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